ちょっとしたおはなし。



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深く、沈めるもの
category:短編
 あまりにも彼が楽しそうにお勧めのお店を話すものだから、「今度連れてってくださいよ」、なんて軽く言ってみた。別に二人きりで、なんて事は期待してない…と言ったら嘘になるけれど。大勢でもいいから彼と一緒ならそれで良かったのに、思っていた反応は返ってこなかった。
 困ったように笑うだけ、なんて。
 深読みしすぎだよ、と思うと同時に、この気持ちはきっと彼にとって迷惑…というか、彼にしたら私は後輩の中の一人というものなんだろう。だから困惑してるんだ。
 彼がそんな反応なものだから、私はこの気持ちをそっとそっと、心の奥の方の小さな箱に閉じ込めるしかないのだ。




わーお、めっちゃ久しぶりの更新(汗)
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一日彼氏
category:短編
 思ったより終わりは呆気なく、そして早かった。


 To:井上彩子
 From:渡辺雄一
 Sab:Re:
――――――――――――
 Text:
 やっぱり友達のままが
 いいと思う(汗)
 ごめん(>人<)

     -END-
――――――――――――


(…ま、こんなもんよね実際。)
 メールの文面を見て、彩子は溜息をついた。
 同窓会で再会して恋に落ちる―――なんてよくある話が自分にもあるのだ、と思ったのだが、そう簡単に上手くはいかないらしい。別に相手のことを特別好きだと思っていたわけではなかったので、失恋という感覚ではなかった。
(てゆうか、なんにしても突然だなぁ)
 付き合わない?と言われたのは、二次会のカラオケから帰ってきてそろそろ寝ようか、と言うときに雄一からメールが来たのだ。たわいのない会話の中で、彼氏がいるのかどうか聞かれたから「いないよ」と返信すると、「俺でよかったらもらってくれない?(^-^)」と返ってきたのだ。
 どうとっていいのかわからなくて、「それは付き合おうって解釈でいいの?」と送り返すと、「そう思っていいよ」と返ってきた。突然のことに驚き、そして確かに嬉しかった。自分にもそんな風に思ってくれる人がいるのだと。
 しかし、彩子はすぐに返事ができなかった。今住んでいるのは遠く離れた県で、翌日にはそっちに帰ることになっていた。同窓会に出席するために戻ってきているだけなのだ。遠距離恋愛は失敗した過去があるから自信がない。
 それでもいいの?と送ると、「大丈夫だよ」と返ってきた。そのメールを見て、「じゃあ、よろしく」と送った。雄一のことは嫌いじゃなかったし、こんな始まり方もいいのかもしれないと思ったから。それが、昨日の話しだ。
 そして今。帰りの新幹線の中で「おやすみ」のメールを送ると、返ってきたのがあのメールだった。付き合おうと言われてから一日も経たないうちにもう別れ話。ショックと言うよりは呆れた、と言ったほうが正しいかもしれない。


 To:渡辺雄一
 From:井上彩子
 Sab:RE:Re:
―――――――――――
 Text:
 わかった。
 それじゃあまたね

     -END-
―――――――――――


 それだけ送って、ぱたんとケータイを閉じた。









そんなこともあるかもしれない(笑)


2007/08/22 修正
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今、この瞬間(とき)だけ
category:短編
「…ごめん」

 謝らないでよ。

「…彼女、おるから」

 知ってるよ、そんなこと。
 知っててすきになっちゃったんだもん。

「気持ちには応えられん…ごめん」

 謝らないでって、言ったじゃん。勝手に想ってる、あたしが悪いのに。

「…な、頼むから泣かんで?」

 すきなのに、あなたを困らせることしかできないね。
 それが悔しくて、嫌。こんなはずじゃなかったのに。

 頭を撫でる手が温かい。
 ねぇ、お願いだから優しくしないで。早くあなたを忘れなきゃいけないんだから。



 …でも、もう少しだけ。

 このままがいいと思うあたしは、なんて愚か。
 だって、今、この瞬間だけは。あなたはあたしのものだから…







他人のものを好きになるのはつらい。

2007/08/22 修正
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ここからまた一歩
category:短編
「…なんてゆーか、ごめんね」
「何が?」
 死ぬ気で夕方までに仕事終わらせて、お望み通り海に連れてきたっていうのにコイツは。
 またなんか変なこと考えてんのか…と亮介は祐希の横顔を見ながら気付かれないように溜息をついた。大袈裟にやると変な勘違いをするに違いない。
「なんだかんだ言ってあたしの我が儘聞いてくれるし…あたしと居て疲れない?」
 様子がいつもとかなり違うことに亮介は気付いた。
 海に沈んでゆく夕陽はあんなにも美しいのに、彼女を取り巻く黒い不安は何?
「別に、そんなこと思ってないよ」
 どうしたら彼女の不安を拭うことが出来るんだろう。自分の持ってる言葉が少な過ぎて嫌になる。
「…嫌になったらちゃんと言ってね」
 言外に離れる覚悟はあるから、と言っているような気がした。
 なんでそんなこと考えるんだ?夕焼けが寂しく感じさせるから?それとも冷たい海風が吹いてくるから?少なくとも、いつもの祐希ならこんなこと言わない。
 西日を受けてオレンジに染まっている祐希を、亮介は引き寄せて抱きしめた。その体が震えていたのは、きっと寒さのせいだけじゃない。
「ね、祐希。よく聞いて?」
「…うん」
 そっと祐希が亮介の上着を掴む。亮介は抱きしめる力を更に強めた。
「俺ね、ちゃんと気付いてるよ。祐希の我が儘が寂しさからきてるってこと」
「…えっ…」
 祐希が首を動かす気配がしたが、構わず亮介は続ける。
「いつも構ってあげられないし、寂しい思いさせてごめん。いつか祐希に愛想尽かされんじゃないかって不安、俺も持ってて…」
「…そうなの?」
「うん。でも祐希が我が儘言ってくれてる間はまだ大丈夫なんだって思ってるんだ。だからなるたけ叶えてあげようって思ってて。それは全然負担なんかじゃないから…祐希が気にする必要なんてないよ」
 祐希の手が腰の辺りから背中へ回る。亮介は自分の肩口がじわりと濡れるのを感じた。
「もー、なんで泣くんだよー」
 苦笑混じりに亮介が言うと、ごめん、とくぐもった声が腕の中から聞こえた。
「ここはごめんじゃなくてさ…」
「ん…ありがと、亮介」
 顔を少し上げた彼女の涙を払うと、やっと笑顔を見せた。それを待っていたかのように、水平線で留まっていた太陽が沈む。そっとふたつの影が重なったのは、濃紺の夜空に浮かぶ月だけだった。








何気に「言葉の裏側~」の続きだったり…
暇なバイト中に思いついたので書いてみました。
ちょっとクサい?(笑)
このカップルは大体25歳以上かな…という感じがあります。

2007/08/22 修正







「あー、沈んじゃったね、太陽…」
「ホント、真っ暗になったなー。どっかで食べて帰る?腹減った」
「あ、ならあたしパスタ食べたい!ピエトロの」
「ピエトロかー。いいね、久しぶりに行くか」
「やった!ありがと、りょーちゃん」
「ん、素直でよろしい」
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