ちょっとしたおはなし。



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不幸の手紙 -プロトタイプ-
category:歌モノ
 なんか最近、新種の不幸の手紙が流行ってんだって。ああ、小学生ん時にあった「何人に回さないと不幸になります」なんてお遊び見たいなモンじゃなくてさ。なんでも、その手紙に書いた内容が送った相手にマジで利くんだって。例えば、ライバルに送って「次の試合風邪引いて出られませんように」とか、「階段から落ちて怪我しますように」だとか…。本当に叶うんだって。
 でも、その手紙はやっぱり普通の紙に書いたんじゃダメで、特殊なものを使うらしいよ。どんなものかは俺も知らないんだけど、買うんだって、怪しげな店で。その店はどっかにある繁華街のぼろっちいビルにあって、紳士風な男の人が店主なんだって。いろんな怪しげなものがディスプレイされてるらしいんだけど、その手紙だけは店主に「便箋ください」って聞かないといけないんだって。やっぱ多少は人を傷付ける商品だからさ、簡単には売っちゃいけないんじゃないの?でもお金は要らないらしいんだよな。お金じゃない、代価が必要なんだって。人それぞれ違うらしいけど…。
 っていう噂が実しやかに流れてるらしいよ。


***  ***


「つまんねーよー、それ!」
「全然怖い話じゃねえじゃん!」
 パチ、と部屋の明かりが点いたと同時にそんな野次があちこちから飛んだ。話してた本人はそうかあ?って首をひねってるけど、残念ながらおれもそう思う。最初の方はちょっといい感じに怖かったけど、オチが弱いっていうかなんていうか。
 修学旅行の男だらけの部屋。男子校だから女子の部屋に忍び込むとかいう楽しみは全然ないし、勿論相手がいないから定番の恋バナなんてものも出来ないとなると、会話は自然と怖い話になっていくわけで。電気を消して百物語みたいに一人ずつ話していってたところだ。
「ていうか、それ誰から聞いたんだよ?」
「んー、ツレのツレ?いわゆる都市伝説ってやつ」
「それにしちゃ弱えーって」
「デスノートの二番煎じじゃん」
「確かに!あっちは死んじゃうだけだけどな」
 けらけらと笑いが起こる。所詮デスノートは漫画の中の話だけど、実際にあったら便利なのはこの不幸の手紙なのかも、なんておれは思った。ムカつくヤツなんてそこら辺にいっぱいいても、死んで欲しいまでは思ってないし、そいつにちょっと困ったことが起これば気分がすっきりする、なんて思うヤツはきっといっぱいいるんだろうな。おれも含めて。
「――なあ、もしその手紙がホントにあったとしてさ、そしたら誰に送る?」
 仲間の一人が車座になってるおれたちの顔を見渡して、にや、と笑った。それが誰のことを指してるのか、誰もが一瞬でわかった。こんなことを言われるヤツはおれ達のクラスで一人しかいない。
「やっぱ笠井、だろ?」
 一人でさっさと布団をかぶって寝ている笠井になるべく聞こえないように、おれは呟いた。分かっていてにやにや笑っていたみんなが一斉に噴く。
「わっ、わざわざ言わんくてもいいのに!」
「ぎゃはは!やっぱそうだよなあー!」
「笠井しかいねーって!」
「…くく、ちょ、もうちょい静かにしねーと笠井起きるって」
 おれのクラスにいる笠井という男は、高校生にもなっていつも髪はぼさぼさでビン底のメガネだし、話しかけてもなんも返してこないしで、とにかく気味の悪い存在だった。そんなだからクラスのヤツからは勿論嫌われていた、というよりは疎まれていた、といった方が正しいのかもしれない。別にいじめが行われていたわけじゃないけど、そんな存在なもんだから近寄るヤツなんて誰もいなかったし、悪口とは行かないまでも本人に聞こえないとこでからかいの言葉遊びなんかはしょっちゅうやられてた。だから、ここで笠井が槍玉に上がるのは当然のこと。
「じゃあさあ、笠井に送るとしてどんな不幸に陥ってもらうよ?」
 なんだか楽しくなってきておれはこう切り出した。
「そーなあ、やっぱ最初は軽く物がなくなるとか」
「したら次は病気?」
「風邪は面白くないから、盲腸とかいってもらう?」
「うわ、手術系かよ!」
「ぎゃはは!んじゃあそん次は怪我な!骨折だろ、やっぱ」
「階段?」
「それも面白いけど、交通事故もだいぶ不幸だよな」
「確かに!で、最終的には――」
「……死?」
 一瞬しん、とした中でおれが小さく呟くと、また回りがにや、と笑った。
「まぁた言わんくていい事をー!」
「冗談でも言うなよそんなことー」
「悪い悪い、ホントにそんなこと願ったらマジ笑えない冗談だよなー」
 わっ、と周りが沸く。この日の夜は終始この不幸の手紙で盛り上がった。勿論矛先は笠井だけじゃなくて、嫌われてる生活指導の先生とかいろんな人にどんな不幸になって欲しいかを言い合っていた。――勿論、それは全て冗談だとみんなわかっていた。





スガ シカオ/Rush(「PARADE」収録)

…と、こんな話を考え中…
今まで書いたことない、ホラーチックな感じ?を目指して。
ゼミの課題で提出しようかと思ってるけど、完成すっかな。
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