ちょっとしたおはなし。



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ここからまた一歩
category:短編
「…なんてゆーか、ごめんね」
「何が?」
 死ぬ気で夕方までに仕事終わらせて、お望み通り海に連れてきたっていうのにコイツは。
 またなんか変なこと考えてんのか…と亮介は祐希の横顔を見ながら気付かれないように溜息をついた。大袈裟にやると変な勘違いをするに違いない。
「なんだかんだ言ってあたしの我が儘聞いてくれるし…あたしと居て疲れない?」
 様子がいつもとかなり違うことに亮介は気付いた。
 海に沈んでゆく夕陽はあんなにも美しいのに、彼女を取り巻く黒い不安は何?
「別に、そんなこと思ってないよ」
 どうしたら彼女の不安を拭うことが出来るんだろう。自分の持ってる言葉が少な過ぎて嫌になる。
「…嫌になったらちゃんと言ってね」
 言外に離れる覚悟はあるから、と言っているような気がした。
 なんでそんなこと考えるんだ?夕焼けが寂しく感じさせるから?それとも冷たい海風が吹いてくるから?少なくとも、いつもの祐希ならこんなこと言わない。
 西日を受けてオレンジに染まっている祐希を、亮介は引き寄せて抱きしめた。その体が震えていたのは、きっと寒さのせいだけじゃない。
「ね、祐希。よく聞いて?」
「…うん」
 そっと祐希が亮介の上着を掴む。亮介は抱きしめる力を更に強めた。
「俺ね、ちゃんと気付いてるよ。祐希の我が儘が寂しさからきてるってこと」
「…えっ…」
 祐希が首を動かす気配がしたが、構わず亮介は続ける。
「いつも構ってあげられないし、寂しい思いさせてごめん。いつか祐希に愛想尽かされんじゃないかって不安、俺も持ってて…」
「…そうなの?」
「うん。でも祐希が我が儘言ってくれてる間はまだ大丈夫なんだって思ってるんだ。だからなるたけ叶えてあげようって思ってて。それは全然負担なんかじゃないから…祐希が気にする必要なんてないよ」
 祐希の手が腰の辺りから背中へ回る。亮介は自分の肩口がじわりと濡れるのを感じた。
「もー、なんで泣くんだよー」
 苦笑混じりに亮介が言うと、ごめん、とくぐもった声が腕の中から聞こえた。
「ここはごめんじゃなくてさ…」
「ん…ありがと、亮介」
 顔を少し上げた彼女の涙を払うと、やっと笑顔を見せた。それを待っていたかのように、水平線で留まっていた太陽が沈む。そっとふたつの影が重なったのは、濃紺の夜空に浮かぶ月だけだった。








何気に「言葉の裏側~」の続きだったり…
暇なバイト中に思いついたので書いてみました。
ちょっとクサい?(笑)
このカップルは大体25歳以上かな…という感じがあります。

2007/08/22 修正







「あー、沈んじゃったね、太陽…」
「ホント、真っ暗になったなー。どっかで食べて帰る?腹減った」
「あ、ならあたしパスタ食べたい!ピエトロの」
「ピエトロかー。いいね、久しぶりに行くか」
「やった!ありがと、りょーちゃん」
「ん、素直でよろしい」
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