ちょっとしたおはなし。



スポンサーサイト
category:スポンサー広告
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
|
かけら/003
category:かけら
 ふと空を見上げると、泣きそうになるくらいの青で。
 ああ、キレイだなって手を伸ばしてみたけど、それは何処まで伸ばしてみても届くはずなかった。
 今、私が欲しいものと同じだ。
 あのひとの心はきっと手に入らない。
 そう思ってしまって、やっぱり涙が一粒だけ、乾いたアスファルトに吸い込まれていった。






更新が久しぶり過ぎて泣ける…orz

2007/08/23 修正
| comments (0) | trackback (0) |
最後の頁をめくれば
category:色彩
 はっとして沙織は顔を上げた。ざわついている教室。チャイムの余韻。消され始める黒板。
(――っ、しまった…)
 どうやら寝てしまっていたらしい。手元のノートを見ると、左上にちょこっと何か書いてあるものの、途中からミミズがのたくったような文字になっている。相当始めの方から力尽きていたようだ。
(あー…来週から期末なのに…)
 真っ白なノートにがっくりと肩を落とす。苦手な世界史だけにこれはかなりの痛手だ。結花にでも見せてもらおう。そう思って後ろを振り返ると、にやにや笑う川島と目が合った。
「…何笑ってんの」
「いやぁ、河本よー寝とったなあと思って」
「な!何見てんのこのヘンタイ!」
「は?!見たくて見てたんとちゃうわ!お前が斜めいっこ前の席だから目に入るだけだっつーの」
「だったら起こしてくれるくらい…」
「心優しい川島くんは何度も起こしてやろうとしてたけど河本が全然起きんかっただけですぅー」
 足元見てみろ、とでも言うように川島が指差すので辺りを見てみると、確かに紙くずやら消しゴムやらが散らばっていた。ここまでされて起きなかったのかと思うと、流石に恥ずかしい。
「こ、この席が悪いの!いっつもあったかい陽射し送ってくるから…」
「でも寝てしまうんは河本がその陽気に勝てんからやろ?」
「うっ…」
 全くもってその通りだった。窓際で後ろから三番目なんて、沙織にとってもう寝てくれと言っているようなものだ。
「そんで、ノートどうすんの?」
「…結花にでも見してもらおうかと思っとるけど」
「あー、近藤?アイツも確か半分くらい寝とったぞ」
「うっそ?!結花も?!」
「今日はマジ陽気いいしなー…」
「…ってかなんで結花のも知ってんの?もしかしてストーカー?!」
 うーわー川島のヘンターイ、と引く沙織に川島は慌てた。冗談でもそんな勘違いされては困る。
「ばっ、ストーカーちゃうわ!近藤も俺からしたら前の席やろうが!」
「慌ててるとこがアヤシイ…」
「怪しくねーよ!ったく、そんなん言うんやったら貸しちゃらんわ!!」
 意外な言葉に沙織は驚いた。川島が真面目にノートを取っている?
「…全部ノート取ってんの?ばかわしまのくせに?」
「ばかわしまゆーなっ!…俺、あの人の授業好きやし」
「…へぇ、意外やん。川島の方が寝とる確率多いんにねぇ」
「うっせーな、もーマジで貸してやんねーかんな!」
 ノートを鞄にしまおうとする川島を見て、沙織は慌てた。世界史のテストはほぼ授業中のノートから出ると言っていい。誰かから借りてこの穴を埋めなければ、赤点を取る確率が高くなってしまう。それだけはどうしても避けたい。
「ご、ごめん川島ー!頼むからノート貸して?」
「…それが人にものを頼む態度か?」
 手を合わせているだけの沙織を見やって、川島はニヤリと笑った。
「くっ…人が下手に出りゃあ…」
「そーんなこと言っていーんかなー?ノート貸してやんねーぞ?」
 ホレホレ、と自分のノートを沙織の目の前にちらつかせた。その行為にはムカつくが、ここで借りられなければ何にもならならい。沙織はキッっと川島を睨み――
「お願いします川島様!この河本にその世界史のノート貸してくださいっ!!」
 と一気に言い放った。川島はわざとらしくごほんと咳をすると、「それではこれを貸してやろうじゃないか」と沙織の前に差し出す。沙織は受け取りながら溜息をついた。
「てゆうか“ばかわしま”根に持ち過ぎ」
「うっせぇな、なんならお前のことも“ばかわもと”って言っちゃろーか?」
「結構ですぅー。あたし川島よりは成績いいんで☆」
「………授業中寝てたくせに」
「ん?なんか言った?」
「ナンデモナイデス」
 沙織が素晴らしくステキな笑顔を見せたので、川島は大人しく引き下がった。経験上、こういう笑顔の後には鉄拳が飛んでくるのはわかっているので、痛い目に遭うぐらいなら引き下がったほうがまだマシだ。
「まあ、これはありがたく借りてくよ。明日までには返すわ」
「おー、そうしてくれや」
 丁度その時予鈴が鳴った。ガラガラと戸を開けて先生が入ってくる。「じゃあ」と目だけで会話すると、沙織も川島も次の授業に必要なものを引っ張り出した。



*** ***



 現国の授業ほど暇なものはない、と沙織は思う。それは自分が得意とする教科である以上に、この担当教師の授業がつまらないからでもあった。
(…暇だし、世界史のノートでも写すかぁ)
 自分のと川島のノートを机から出してパラパラとめくる。
(へぇー…あいつ結構字ぃ綺麗じゃん。意外だ)
 そう思いながら写していると、今回の授業分の最後のページの隅に『河本へ』と書かれているのが目に入った。なんだと思ってよく見ると、『最後のページを見よ』とある。
(……最後のページ?)
 なんやねん、と思いながらノートを最後までめくる。そのページの一番上の行に書いてあったのは。


  『好きです。付き合ってくれん?』


(………は?え?!)
 驚いて大声を出しそうになったところを、手で口を塞ぐことによって辛うじて飲み込んだ。後ろをチラリと盗み見ると、川島は机に突っ伏して授業を受けている。いつも通りの川島がいた。が、心なしか耳が赤くなっているのは気のせいだろうか。
(…もしかして見てた?ってかなんであたし?!)
 そこが一番の疑問だった。確かに男子の中では川島が一番よく話す相手であるし、ふざけあえる仲でもある。しかし、女の子らしいコが好きだと言ってなかっただろうか?どちらかといえば自分は逆の位置にあるような気がするのだか…
 頭が混乱し始めた沙織は、自分のノートの端を破って『見たけど、あれ何?』と書いて川島に投げて寄越した。それに気付いた川島はむくりと起き上がってその紙を見る。見た瞬間、ぐっと眉間にシワが寄ったが、何事かを書いて沙織に渡した。

『何って、そんまんまやけど』
『…冗談じゃないの?』
『誰が冗談であんなこと書くかよ
 俺は沙織が好き』
 
 ドキリと心臓が跳ね上がった。綺麗な字面でそんなこと書かれると、余計に。しかも下の名前でなんて。顔が赤くなってやしないだろうか、と沙織は思った。
『…わかった、じゃあ返事はノートに書いとく』
 それを渡すと、川島から返事は返ってこなかった。了解という意味なのだろう。どうしよう、と頭を抱えていると、終業を告げるチャイムが鳴った。



*** ***



 HRも終わり、沙織はぽつんと一人教室に残っていた。目の前には川島のノート。当の本人はとっくに部活に行ってしまっていて、ここにはもういない。窓の外からはサッカー部の掛け声や、野球部の白球を打つ音が聞こえる。
(あー…そういや川島、野球部とか言ってたっけ?)
 教室からグラウンドを見ると、奥の方で紅白戦をやっているのが見えた。丁度守備についているらしく、川島は二塁と三塁の間で構えていた。
(ショートは運動神経いいヤツが守るんだとか言ってたっけなー)
 そんなことを思い出していると、打者が打ったワンバウンドした球を川島がダイビングキャッチで捕り、前転の要領でくるりと一回転するとセカンドにパス。そしてそのままそれはファーストに素早く廻されツーアウト。どうやらこれでこの回は終わりらしく、守備についていた川島達はベンチへと引き上げていった。
(う、わ…なに、今の…)
 一瞬で魅せられた。川島のプレーもだが、何よりもあの真剣な顔に。教室では見たことがないあの表情に。
 しばらく川島をじっと見つめていたが、よし、と気合いを入れると最後のページを開き、さらさらと何事かを書いてパタンと閉じた。



*** ***



(…うわ、寒ぅ)
 着替え終わって部室を出ると、いきなり冷たい風が川島を襲った。昼間は暖かだったのに、陽が沈むとまだまだ寒い。川島はマフラーをしっかり巻き直すと、部室の扉を閉めた。
 ふと、校舎を見上げる。何気なく自分達が使っている教室を見ると、まだ明かりが灯っていた。
(…まさか。おるわけないやん)
 しかし、もしかしてと思うと体が動かない。行こうか行くまいか迷っていたその時。
「川島ー?なにやってんの?帰るぞー」
「っ悪ィ!先帰っといて!」
「はっ?!」
「教室に忘れもんー!!」
 川島は友人の声に反射的に走りだし、その言葉はほとんど届くことはなかった。


 まだ明かりの灯っている教室の前に来て、川島は息を整えた。扉に手をかける。もし沙織がいなかったとしても、それは仕方ない。
 ふー、ともう一度息を吐くと、そっと扉を開けた。
 明るい光りが薄暗い廊下に漏れる。教室を見渡すと、後ろから三番目、窓際の席に―――沙織がいた。机に伏しているということはまた寝ているのだろうか。川島は沙織に近付くと肩を揺らした。
「河本、寝てんの?風邪引くぞー」
 そう言いながら、チャンスだと思って頬や髪に触れてみる。自分とは違うさらさらとした感触に暈がしそうだった。
「…河本、いー加減起きぃや」
 ペチペチと頬を叩くと、「うーん」と沙織が身じろぎした。と同時にがばっと起き上がる。
「…っ寝てた?!」
「おう」
「って川島?!なんでここにいんの?!」
「部活終わって帰ろうとしたら電気点いとるし、誰が残ってんのかなーて気になって」
「あ、そうなんだ…」
 起きた瞬間はテンパっていたみたいだが、川島の言葉を聞いて落ち着いてきたらしい。肩の力を抜くと、ほうと息をついて椅子に座り直した。
「?帰らんの?」
「いや、帰るけど…」
 そう言って沙織は机の上に視線を落とす。そこにはノートが置いてあった。あ、と声をあげそうになったのを川島は辛うじて飲み込む。
「…これ、返すね。ありがとう、助かった」
「あ、うん」
 ノートを差し出されて、川島はそれを受け取った。結構あっさりと返されてしまったのと、今すぐここで見てしまうのはどうだろう、と思うと、その一言しか出なかった。
「……見らんの?」
「ぅえ?!ここで?見ていいの?」
「ここで見ないでいつ見んの」
「い、家で、とか…?」
「…女々しいなあ」
「いや、本人の前ですぐ見るのも失礼かなとか…」
 本音を言ってしまうと、フラれたときの場合を考えると気まずいから、できれば本人の前で見るのは止めようと思っていたのだが…。
「いいから見なよ」
「…わかった」
 そっと裏表紙をめくると、そこには沙織の字で『直接言ってくれたらいいよ』と書かれていた。
「…直接、て」
「そんまんまの意味だけど」
 ほんのり沙織の頬が赤くなっているのは、都合のいいように取っていいのだろうか。
「…わかった。じゃあ…」
「…うん」
「………」
「………」
「………」
「…まだ?」
「ちょっ、心の準備が!」
 すー、はー、と川島は深く深呼吸すると、真っ直ぐに沙織を見た。
「…好きです。付き合ってください」
「…ん。いーよ」
「え、マジで」
「こんな時に冗談言えませーん」
 ふい、とそっぽを向く沙織の頬は、真っ赤に色付いていた。自分の顔も赤くなっているだろうけども。
「…帰ろうや」
「…ん」
 沙織は差し出された川島の手を取り、二人は教室をあとにした。







色のお題配布サイト
「白のお題/2.ノート」

うーん、なんかだらだら続けちゃったかなって感じが残るなぁ…
もうちょい短くする予定だったんだけど。
設定はベタですが結構好きだったりします(笑)
もうちょっと上手く書ければ良かった…orz

2007/08/23 修正
| comments (0) | trackback (0) |
一日彼氏
category:短編
 思ったより終わりは呆気なく、そして早かった。


 To:井上彩子
 From:渡辺雄一
 Sab:Re:
――――――――――――
 Text:
 やっぱり友達のままが
 いいと思う(汗)
 ごめん(>人<)

     -END-
――――――――――――


(…ま、こんなもんよね実際。)
 メールの文面を見て、彩子は溜息をついた。
 同窓会で再会して恋に落ちる―――なんてよくある話が自分にもあるのだ、と思ったのだが、そう簡単に上手くはいかないらしい。別に相手のことを特別好きだと思っていたわけではなかったので、失恋という感覚ではなかった。
(てゆうか、なんにしても突然だなぁ)
 付き合わない?と言われたのは、二次会のカラオケから帰ってきてそろそろ寝ようか、と言うときに雄一からメールが来たのだ。たわいのない会話の中で、彼氏がいるのかどうか聞かれたから「いないよ」と返信すると、「俺でよかったらもらってくれない?(^-^)」と返ってきたのだ。
 どうとっていいのかわからなくて、「それは付き合おうって解釈でいいの?」と送り返すと、「そう思っていいよ」と返ってきた。突然のことに驚き、そして確かに嬉しかった。自分にもそんな風に思ってくれる人がいるのだと。
 しかし、彩子はすぐに返事ができなかった。今住んでいるのは遠く離れた県で、翌日にはそっちに帰ることになっていた。同窓会に出席するために戻ってきているだけなのだ。遠距離恋愛は失敗した過去があるから自信がない。
 それでもいいの?と送ると、「大丈夫だよ」と返ってきた。そのメールを見て、「じゃあ、よろしく」と送った。雄一のことは嫌いじゃなかったし、こんな始まり方もいいのかもしれないと思ったから。それが、昨日の話しだ。
 そして今。帰りの新幹線の中で「おやすみ」のメールを送ると、返ってきたのがあのメールだった。付き合おうと言われてから一日も経たないうちにもう別れ話。ショックと言うよりは呆れた、と言ったほうが正しいかもしれない。


 To:渡辺雄一
 From:井上彩子
 Sab:RE:Re:
―――――――――――
 Text:
 わかった。
 それじゃあまたね

     -END-
―――――――――――


 それだけ送って、ぱたんとケータイを閉じた。









そんなこともあるかもしれない(笑)


2007/08/22 修正
| comments (0) | trackback (0) |
今、この瞬間(とき)だけ
category:短編
「…ごめん」

 謝らないでよ。

「…彼女、おるから」

 知ってるよ、そんなこと。
 知っててすきになっちゃったんだもん。

「気持ちには応えられん…ごめん」

 謝らないでって、言ったじゃん。勝手に想ってる、あたしが悪いのに。

「…な、頼むから泣かんで?」

 すきなのに、あなたを困らせることしかできないね。
 それが悔しくて、嫌。こんなはずじゃなかったのに。

 頭を撫でる手が温かい。
 ねぇ、お願いだから優しくしないで。早くあなたを忘れなきゃいけないんだから。



 …でも、もう少しだけ。

 このままがいいと思うあたしは、なんて愚か。
 だって、今、この瞬間だけは。あなたはあたしのものだから…







他人のものを好きになるのはつらい。

2007/08/22 修正
| comments (0) | trackback (0) |
かけら/002
category:かけら
「は?クリスマス?別にそんなんせんでえーし」

 なんとも夢のカケラもないセリフを吐いたのは、目の前にいる彼女。女って普通、クリスマス・イブだとかを重要なイベントとして考えていると思っていたが、どうやら奈緒は違うらしい。
「え、それマジで言うてんの?」
「そうよ?うちアンチクリスマスやもん。なんだってこんな忙しい時期に他人の誕生日祝わなあかんねん」
 確かにクリスマスはキリストの誕生を祝うもので、一応仏教徒である日本人には全くといって関係のないイベントのはずである。にもかかわらず、年中行事として扱われているのは、現代の日本人の無宗教っぷりを表しているのにほかならない。
「…じゃあ、ホンマになんもせんでえーの?食事とかケーキとか」
「あー別に?24日はともかく、25日はそもそも月曜やから仕事入っとるし。あ、プレゼントとかもいらんよ?金かかるやろ」
「…お前、夢ねーな」
「金のかからん彼女ってゆーてや」
 ふふん、と奈緒は笑った。
 確かに、今までの彼女たちからは何かしらプレゼントを要求されてきたから、出費が少なくなるのは嬉しいけど。でも。
「なぁんか拍子抜けやわー」
「あはは、悪かったなー彼氏甲斐のない彼女で」
「いや、それは別にえーねんけど」
「けど?」
「…いや、なんでもないわ。あ、一応24日空けといてや。クリスマスはせんでもえーし、普通に過ごそ」
「ああうん、そんならえーよ」
 まさか自分の彼女がアンチクリスマスだったとは。
 結構なロマンチストだと思っていたから(いつかのブルーベリーの件で)、意外でしょうがなかった。


***


 24日。
 外は快晴。真っ青な空。気温もそれほど低くないから、雪も降りそうにない。
(クリスマスのかけらもないやんけ)
 キラキラしいイルミネーションと、いつもより倍近くいるカップルの多さで辛うじてその当日だとわかるようなもんだ、と愁は待ち合わせ場所でぼんやり考えていた。
「ごめん、待たせたわー」
 声をかけられた方を見ると、寒さで少し頬を赤くした奈緒が立っていた。お気に入りのコートに、濃いめのデニム、黒のブーツ。どこからどう見てもいつも通りの格好だ。
(普通に過ごそ言うたんは俺やし、そんな着飾ってくるわけないか)
 愁もいつも通りのダウンにジーンズ、スニーカーという出で立ち。自分の想像した奈緒の姿に苦笑して、どこに行こうか、と尋ねた。






クリスマスっぽい話を考えてたっていう…
この先どうしようかと思って諦めたorz
「Hard Days,Holy Night」ネタもやってみたかったけどね…
因みにポルノの曲です。
曲ネタもそのうちやるかもしんない…

2007/08/22 修正
| comments (0) | trackback (0) |
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。